2006.03.18

太平洋を越えられない?

前々から、いろんなところで耳にする俗説に、「日本のマンガやアニメ、ゲームは、太平洋を直接越えることができず、まずアジア諸国、次にヨーロッパに情報が伝わり、アメリカに届くのは最後だ」という話がある。証拠があるわけではないのだけれど、海外のウェブサイトを見ていて、何となくそう思えることがないこともない。日本のマンガの翻訳が出版されるタイミングも、ドイツやフランスのほうがアメリカより早く、値段も安い。

さて、今月15日にソニー・コンピューター・エインタテインメントが、次世代ゲーム機PS3について情報を公開した。それに関する海外の反響を、ウェブの掲示板で見ていて思ったのだが、時差の関係なのか、たまたま日本語を読める人のよく行くウェブサイトがばらついているせいなのか、やはり、ヨーロッパ経由でアメリカに情報が伝わっている。例えば、日経BP社のサイトに載った日本語の記事が、まずオランダ語に翻訳されてオランダのサイトに載り、それが英訳されてアメリカのサイトに載っていた。(2重に翻訳されているので、英文が少しおかしい。ゲーム会社のスクウェア・エニックスの社名が、オランダ語訳では正しく Square Enix と書いてあったのに、英訳では Enix Public garden になっている。人間が翻訳したならこういうことは起こらないので、機械翻訳だろう。)

これまでにも、日本のゲームの話がまずドイツ語に翻訳されてから英語に再翻訳されたりしている例や、マンガが中国語訳されてから英訳されたりしているのを見たことがある。

やっぱり太平洋は越えられないのだろうか? だとすると、それは何故?

2006.02.12

リアルでないCGのゲームを見たい

どんなに分別ある大人を装おうとも、誰でも、時として『夢多き学生』のようなことを考えることがあると思う。(などという前置きを書くのは、すでに体裁をとりつくろうオヤジになった証拠である・・・) さて、今日は、ただの思いつきを書こう。具象的な3次元のCGデータから、感性だけを抽出して抽象画を作るようなコンピュータプログラムをプログラム作ることはできないものだろうか。

いや、思ってみただけなのだが、いい加減、もう『リアルなCG』には飽き飽きしているのだ。テレビゲームも、リアルさを自慢するなら、PS2やXbox1で十分。ゲームのCGは、人類の絵画の歴史から 500年以上遅れている。いやライティングに気を使い始めているから、もうちょっとはマシか。それにしてもつまらない。

リアルさを追求することも大事だが、ゲームの面白さにはほとんど効果がないばかりか、莫大なモデルデータの作成に金と人と時間ばかりかかってしまうため、商品としての競争力を著しく損なっている。これは、ゲームとしてての品質がどうだこうだという以前に、単なる値段の問題。ゲーム以外に安価な娯楽がいくらでもあるという事実は、ゲーム業界関係者の人なら誰でもみんな知っているはずなのに、なぜ、商品の価格競争力を落とす方向に「軍拡競争」を進めているのだろう? 任天堂のDSのソフトが爆発的に売れているのは、値段が安いからだ。ソニーとセガの Playstation と Saturn も、それ以前のゲームより安い値段でソフトを提供できたから任天堂のシェアを奪うことができた。

もちろん、リアルでないCGを使ってゲームソフトを作るということと、安価に開発するということとは別次元の話だし、リアルでない特殊な映像を使ったら面白いものになるという保証もないのだけれど、すでにCGリアルさは競争力をもたらすものではなくなっている。その証拠が、マイクロソフトが Xbox360 でやっている「ハイデフ」キャンペーンだ。性能競争の結果、既存のテレビではCGの画質の差が分からなくなったから、客に新しい高価なテレビを買えと言っているに過ぎない。

しかし、既存のテレビでゲームを楽しめるなら、Xbox360のためにHDTVを買う人はいない。既存のテレビで楽しめないなら、Xbox360を買う人はいない。携帯ゲーム機のように、ゲーム機それ自身に画面表示のための部品がついているのであれば、その表示器の高精細さを宣伝するのは当然のことだ。しかし、客がわざわざ、その商品とは別に非常に高価な新しいテレビを買わなければ使うことのできない機能を全面に押し出して宣伝するというのは、あまりまともな戦略ではない。残念ながら、消費者は全く相手にしなかった。地上波デジタルへの移行に伴い、あと5年もすれば、HDTVの普及率は十分高くなるかも知れないが、そのころには Xbox360の商品としての寿命は尽きていて、Xbox720か何かが発売されているはずだ。

マイクロソフトがなぜこういう戦略ミスを犯してしまったかについては、過去の経緯を基にしていくらか推測できるが、それはまあどうでもよい。基本的な問題点は、「リアルなCGを作ることが目的化してしまって、安価な娯楽を提供するという、ゲーム機に求められている本来の用途がなおざりにされてしまった」という点である。任天堂もNitendo64で、ソニーはPS2で、いくらか似たミスを一時的に犯した。年内に発売されるという、両者の次世代機はどうだろうか。個人的には、もう、天ぷら油を塗りたくってテカテカ光っているかのような人物や自動車は見たくないのだが。

現物に近いCGを作るのが悪いというつもりはないのだが、基本的には大量の数値計算を力ずくで解いているだけである。ただリアルなCGを表示しているだけのゲームなら、一番偉いのは高度な計算能力を持つ半導体を作ったLSIメーカーであって、ゲーム開発者はその恩恵に浴しているユーザーに過ぎない。もちろん、最終消費者にとっては、誰の能力がもっとも製品に寄与しているかなんてことはどうでもよく、最終的に得られるゲームがおもしろいかどうかがすべてなのだから、半導体メーカーとゲーム会社のどちらが偉いかなどという話は無意味だ。とはいうものの、「ハードの性能が高くなったせいで、開発コストが増加し中小のメーカーにはゲームが作れなくなった」などという話を聞くと、いったい何のための性能競争だという気がする。

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