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2014.11.08

わかる人にはわかる。と、いうこと。

今日、何気なくニュースサイトを読んでいて「ああ、プロをだまして何かの偽装工作を結果的に手伝わせようとしてもも、わかる人にはわかるんだから、むしろ自白するようなものだ」と、思った。こういう記事だ:
『修理要請、実はひき逃げ事故車 JAF職員が直感で通報』
http://www.asahi.com/articles/ASGC74VTYGC7OBJB004.html

自転車を相手にひき逃げ事故を起こした男が、事故現場から少し遠くに移動したのちに自分の自動車のタイヤを道路の縁石にぶつけてパンクさせ、普通の自損事故を装ってJAFに修理要請をしたのだ。そうやって、公的機関に近い立場にあるJAFに「この車からは、どこそこで自損事故を起こして修理要請を受けています」という記録を作ってもらっておけば、後で警察から調べを受けたときに「事故は起こしましたが自損事故であって、ひき逃げ事件のことは知りません。JAFが証人です。」と、アリバイ工作できるという算段だろう。自損事故を起こすまでに40分経過しているから、事故で気が動転したせいで、続けて本当に自損事故をやってしまったとは考えにくい。
自転車にぶつかった自動車には、それなりの損傷が車体にできる。縁石に乗りえあげてパンクしただけの自動車なら、タイヤが破れるだけで車体そのものに何かとの衝突痕ができるわけがない。JAFの人は事故車を見て、「これはよそで別の事故を起こしている」と直感し、警察に通報。運転者はひき逃げ容疑者として検挙された。

古い推理小説でも、殺人犯が自分に服についた返り血をごまかすため、別の服に着替えてから、知人に手伝ってもらいつつ自宅で飼っていたニワトリをさばき、わざと血まみれの服を作るというトリックがあった。警察にその服を提出し、警察がこれはヒトの血液ではないと判別してくれれば、自分は容疑者のリストから除外されるはず、というのが犯人の目論見だった(しかし、殺人の返り血は衣服以外のところ、つまり犯人の体自身にもついていた。作中の刑事は世間話を装いつつ、身だしなみを整えなさいよといって犯人に指のつめを切らせ、その後、犠牲者の血液が付着していた「つめの垢」を証拠として犯人を捕まえる)。

ついでに言えば、人身事故の証拠隠滅のために、わざと自損事故を起こしてすぐに車を修理にだし、修理会社に「確かに、自損事故を起こしたのが明らかなこの車の修理をしました」と証言させる・・・ なんてのは、過去に実行した者がいくらでもいるので、修理をする人は「そういうアリバイ工作に自分が利用されることがある」ということをあらかじめ教わっているはず。

それにしても、このひき逃げ事件の場合、タイヤをパンクさせるなんて安上がりな事故でごまかそうとしたとは、プロのロードサービス員を見くびりすぎだ。少なくとも、修理する人が見ても自転車との衝突痕に気がつかなくなる程度まで車を壊すくらいの工作をしなければ、わかる人は見た瞬間に「ただのパンクのはずがない、これはよそで別の事故をやらかした自動車だ」と即座に見破るのは当たり前

ただのひき逃げでも重罪だが、隠蔽工作をすると罪は一段と重くなる。プロをだまして隠蔽工作に利用するというのは推理小説に出てくる用意周到な計画犯罪ならともかく、不注意でひき逃げをやらかした直後に思いつきで画策してもうまくいくはずはない。まあ、そういう損得勘定をできる人なら、最初の事故現場ですぐに自分から警察に連絡をするはずで、ひき逃げ事件そのものが発生しない(通常の人身事故になるだけ)。

この記事の事件の場合は、被害者はたまたま軽症ですんでいたというのが、せめてもの救いだった。やれやれ。

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