専門家は、専門用語に敏感に反応する
軽度ながらもうつ病を再発して、6月から通院中である。抗うつ剤を何ヶ月かは服用し続けることになるので、副作用による悪影響が生じていないかを確かめるための血液検査を、先日受けた。
私はこの病院では始めて受ける血液検査だったので、看護師は、血液検査をする理由などを丁寧に説明してくれた。そして、その中で、「まれにですが副作用でコレステロール値が変わったりすることがありますが、現在、それに関連するような治療を受けていますか?」と、聞かれたので、春に受けた定期健康診断でコレステロール値が高かったから、近所の内科でコレステロール合成阻害剤をしばらく処方してもらいつつ、体重を少し減らし、途中の検査でコレステロール値が下がって以降は通院をやめてしまったので、もしかしたら、下がってくれていた数値は逆戻りしているかも知れない。と、伝えた。
すると・・・ おや?
それまで、職業的に、「何もわからない患者に、やや作り笑顔を浮かべつつ優しく声をかけていた看護師」が、なぜか急に少し緊張した面持ちで姿勢を正して、「医療関係の業界の方ですか?」と、聞いてきた。こちらはわけがわからないまま、「いえ、ただの患者です」と答えるだけだ。どうも、普通の人なら「コレステロール値を下げる薬」とか「コレテロールに効く薬」というべき場面で、私が「コレステロール合成阻害剤」を言ったので、私のことを医療関係者か何かではないのとか敏感に反応したしたようだった。いや、でも、珍しい分野の医薬品ならともかくなぜに広く一般的に使われている薬についてのこの一言に過敏に反応したのやら、ちょっと不思議な感じがした。そもそもコレステロールは人間が生きていくうえで必要不可欠な化学物質で、あまりに必要性が高いので食べ物からの摂取ではなく、ヒトの肝臓は毎晩せっせとコレステロールを合成している。血中コレステロール値の半分は自家製なのだ。コレステロール値を下げる必要があるなら、肝臓でのコレステロールの合成にブレーキをかけるのがもっとも効果的であり、、コレステロール値が高いときに内科で処方されるもっとも一般的な薬がコレステロール合成阻害剤だというのは、いまどき当たり前のこと・・・ くらいは、中年以降、健康診断でコレステロール値が高いときに医師が丁寧に説明してくる。それに続けて、「薬で下げても、生活習慣を変えない限り服用をやめたら逆戻りですよ」と念を押される。誰でも知っていることのはず・・・ ではないの?
もしかしたら、彼女は精神科の看護師として、他の病気の患者に話しかけるときよりも特に意識して優しい態度を作っていたかもしれない。精神科に来る患者は精神的ストレスを受けていているのだから、そういう配慮は自然だしありがたいことだ。私は決して軽く見られたとは思わない。最初に書いたように「ただの患者」ですから。でも、この看護師は。目の前の相手が医療関係者だったら、優しすぎるのはかえって失礼なことになりうると、あわてたのかも知れない。
とくに、何か悪いことがあったわけでも、誰も怒ったり困ったりしたわけでもない、日常での些細な出来事であったが、「業界関係の方ですか?」という問いに対する、「ただの患者です」という返事、今になって思い出してみると、どこか少しこっけいな寸劇のような感じがしないでもない。でも、それ以外になんと答える?
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