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2004.10.26

ノイズキャンセリング・ヘッドフォン

先週、ソニーのノイズキャンセリング・ヘッドフォン MDR-NC6 を買った。ヘッドフォンのスイッチを入れると、電車の騒音が抑制され快適である。

普通のヘッドフォンで電車通勤をしながらCDやテープを聴いていると、電車の騒音で音声が聞き取れないことがある。だが、騒音に負けない大音量にして聞くのは耳を悪くしそうだし、電車が止まって騒音が小さくなった時には音声のほうがうるさくてかなわい。そうかといって遮音効果の高い密閉式の大きなヘッドフォンは重くて暑苦しいし・・・ と、思って、オーディオに詳しい友人に相談してみたところ、週末の買い物に誘ってもらえた。

彼の知っていたオーディオ専門店で、実際にヘッドフォンの試聴することができ、確かに店外から聞こえていた道路の騒音を抑制する効果があったので、それを購入して使っている。このヘッドホンは両脇に小さなマイクロフォンが組み込んであり、そこで拾った周囲の騒音を逆信号にしてヘッドフォンのスピーカーに与えることによって、最終的に耳に届く音から周辺の雑音を打ち消すように工夫されている。

騒音が完全に打ち消されてなくなるわけではないが、それでも確かに電車の騒音は抑制されCDの音声が聞きやすくなった。CDを再生していない状態、つまりヘッドホンに音声が来ていない状態で、ヘッドホンのスイッチをオンオフしてみると、明らかに周辺の雑音の大きさが変わる。また、家で試してみると、パソコンの冷却ファンの音が明らかに小さくなる。

また、マイクを指で隠す(やっちゃいけません)と打ち消すべき雑音がマイクに入らなくなるので、雑音の抑制効果もなくなる。強い風が吹いているところで使うと、マイクに風が当たって発生する雑音(マイクに息を吹きかけたときに聞こえるような風の音)が聞こえるので、そういうときは逆効果だが、これは原理的に言ってしかたないと思う。

マイクで周辺の騒音を拾ってそれをスピーカーから差し引くという理屈は、アイデアとしては単純だが、実際に製品として安定に動作させるにはかなりのノウハウが必要だと思う。工場の騒音などから作業員を保護するための高価なものがあることは知っていたが、数千円で買える民生品として入手できるのはうれしい。

2004.10.25

ナルニアの最期

以前から発売されるたびに買い集めていた The Chronicles of Narnia (C. S. Lewis 著)のオーディオブックの最終話、The Last Battle が、今月発売だったのでアマゾンで買い求め、昨日から聞いていた(このオーディオブックは、CD4枚組み)。そして、つい先ほど聞き終わった。

この話は、今回初めて読んだ(聞いた)のだが、著者は書くのが嫌になって無理やり終わらせたのだろうか。まるで連載打ち切りをくらったマンガかアニメのような話の流れで、シリーズ最終話としては、あんまりという気がする。

ひょんなことから始まる邪悪な陰謀、そして、主人公たちが必死の活躍でその陰謀を暴いても、ひとたび離れてしまった人の心はもう戻ってこない・・・ という、ずっしり手ごたえのある出だしだったのに、いつの間にかそういう話は全部吹き飛んで、とにかくシリーズの最終回にするためのストーリー展開になだれ込んでしまっているのは、かなりもったいない。CDの朗読としては大いに満足しているのだが、ストーリーのほうは、ちょっと残念な作品だった。新シリーズの再開を望みたいところだが、著者は40年前にお亡くなりになっているので無理な話である。

それでもなお、The Chronicles of Narnia は素晴らしいファンタジーだと思うので、コレクションの一つとしてこの最終話も手元に置いておきたいとは思うのだが・・・ やっぱり、最初に発表された The Lion, the Witch and the Wardrobe が一番面白いと思う。

2004.10.24

TOEICの傾向が少しだけ変わったような気がする

全くの個人的な主観だが、今日のTOEICを受けてみて、噂に聞いていたように少し傾向が変わったような気がした。パート5と6において、基本的な文法や語彙を問う問題の割合が増え、語彙を問うものは減らされているのではないだろうか。一方、パート7は今までより読解力を求めているような気がする。

パート1の写真問題は、過去に見たことのある写真問題が一つもでなかった。これまで受けたときには、必ず一つか二つ、過去の問題が使いまわされていたと思うのだが・・・ 見覚えのある顕微鏡の写真が出題されたが、正解の選択肢は過去の出題とは違う内容になっていた(聞き手を引っ掛けるため「マイクロフォン」という単語を含む選択肢が混ぜてある点は、過去の出題と同じ)。とはいうものの、どのパートも極端に難しくなったり易しくなったりしたわけではない。やっぱりいつものTOEICだと思う。

私は語彙を問われる問題が苦手で(真面目に単語を覚えていないのだ)、今回のように形式的な文法を問う問題が多いほうが楽なのだが、しかし、そういう問題は他の受験者にとってもやっぱり楽な問題となり、点数に差がつかない。TOEICは採点結果を元に統計的な調整をしてスコアを算出しているので、出題が易しいからといってスコアが上がるわけではない。差がつきにくい環境においては、むしろ、つまらないミスで減点されるダメージのほうが大きいかも知れない。過去に受験したときの経験では、ネットの掲示板に「今回は易しかったね」という乾燥が多く寄せられたとき、私のスコアは下がる傾向がある。さて、今回はどうだろう?

2004.10.18

『1ヶ月でTOEICが128点も上がる教育機器』があるそうだ

題名に書いたような宣伝文句を、最近、ウェブサイトのあちこちで見かける。5点単位の点数しかありえない TOEICにおいて、『128点上がる』とはどういうことだ。困ったものである。

ウソか誤植かは分からないが、検索エンジンで「TOEIC "128点"」という検索語を入れて検索しても、同じ文章の宣伝がやたらと見つかる。こういう一発で間違いだと分かる宣伝文句が何ヶ月も前から延々とウェブやメールマガジンに流れ続けているのはちょっと変である。誰も突っ込まないのだろうか? 1回や2回なら単なる誤植かも知れないが、最初に宣伝が流れてから3ヶ月後の広告でも訂正されていない。

何であれ好奇心をうまく刺激して勉強の意欲を引き出すものであれば、少々うさんくさい商品であってもいちいち目くじらを立てることはないとは思うのだが、個人的には、SIIやカシオから出ているまっとうな電子辞書を買うことをお勧めしたい。なお、研究社の英和中辞典はパソコン用CD-ROMなら3000円で買える。

ところで、1ヶ月でTOEICの点数が100点上がるのは全然珍しくない。さらに言えば、逆に100点下がるのも珍しくない。私自身、1ヶ月で120点上がったことも 80点下がったこともある。長時間平均を見なければ意味がない。

おもしろいことに、先月のTOEICは、過去の問題からの再出題がほとんどなかったらしい。これまで TOEICは、写真問題でも長文読解でも1年くらい前の問題がいくつか使いまわされていたので、何度も受験していると(そして受験の後で分からなかった問題についてちゃんと復習していれば)次第に点数が上がってくる。いわゆる「テスト慣れ」の効果がある。ところが、先月は過去問が出なかったので、受験者の得点分布が明らかに前回や前々回とは違っているそうだ。

試験慣れして高得点を取っていた人は、先月の試験では痛い思いをしたかも知れない。あちこちの出版社がTOEICの出題傾向を分析して続々と本を出しているのだから、試験を運営する側としてもいつまでも同じ問題を使いまわしするわけにはいくまい。出題内容は突然変わることもあるわけだ。

私は、次の日曜にある今月の試験を受ける予定だが、どうなることやら・・・

2004.10.11

TOEICでは、英語と米語の差は気にしなくていい

しばしば、「英語のできないヤツほど、イギリス英語とアメリカ英語の差を語りたがる」と、皮肉られるくらいであり、「TOEICは米語の試験だから、イギリス英語の本を読むのはよくない」などと忠告してくれる人がいるとしたら、そいつは半可通だと思ったほうがいい。

発音の違いは確かにあるので、なるほど、TOEICのリスニング対策でテープやCDを聞くならアメリカ英語のほうがいいかも知れないが、リーディングのテストについては、そもそもTOEICが、「ノンネイティブのための試験」であるという事実からいっても、英語と米語の微妙な差異を答えされるような問題が出ることはない。ある問題に与えられた4つの選択肢が、一つはイギリス英語の正解、もう一つはアメリカ英語の正解、というようなものである可能性はない。4つのうちの1つだけが、アメリカ人にとってもイギリス人にとっても正解であり、残り3つはどちらにとっても不正解である。

少し前にアマゾンの書評欄を見たら、ある文法書について「この文法書はイギリス英語だから、TOEICの受験者なら破り捨てたくなるだろう」などと書いている人物がいたが、デマもいいところだ。しかも、実際にその本を読んでみると、ちゃんとアメリカ英語の特徴的な表現、仮定法現在についての解説はあった。TOEICで出題される文法問題で、イギリス英語との違いが出るのはせいぜいこれくらいである。

そして、仮定法現在は、イギリス人にとって、古風な表現ではあっても間違いというわけではない。TOEICに出題されるときは、どうせ選択肢の残り3つは完全に間違いなのだから、イギリス人だってアメリカ英語の正解を選ぶ。

英米語での前置詞の選び方などの差異、例えば about と around の使いどころの差などは、TOEICには出題されないと考えてよい。その種の問題はアメリカ英語の話者にとっても、「どちらを選んでも許容範囲だが、普通はこちらを使う」という程度問題だから、ひとつだけを正解とし他を誤答としなければならない試験問題には出しにくい。なおかつ、そんな問題を出しても「ノンネイティブ」の英語力を測定するという点で意味がない。

イギリス英語とアメリカ英語には違いがあるのは確かだが、少なくとも、TOEICで900点に行くか行かないかというレベルの人間が気にするようなことではない。それは、TOEICでの測定範囲を越えた世界のことである。

2004.10.08

目が痛くて、くしゃみと鼻水がとまらない

昨晩から、目が痒かったり痛かったり・・・ そして、涙が出るので鼻水がとまらない。くしゃみもしょっちゅうだ。実は、ハウスダスト・アレルギーなので、春先、気温が高くなったころにやられることはあるのだが、秋口にこんなにつらいの初めてである。ここしばらく、雨や台風のせいで窓を閉め切っていたせいかも知れない。全部の窓を開け放って大掃除をしたいところだが、今日も明日も雨である。

2004.10.07

外国人のための日本語の辞書がない

今日、英語の本を探しに紀伊国屋に行ったときのこと、以前よそで見かけた『暮らしのことば日本語の擬音・擬態語辞典』のことを思い出して、国語辞典売り場にも寄ってみることにした。

この辞書は、似たような意味合いの擬音語・擬態語について、微妙なニュアンスの差異を具体的に説明している。たとえば、「ほやほや」と「ほかほか」の違いについて、『どちらも暖かいものを意味するが前者は「できたて」であるという意味を含むのに対し、後者はそうとは限らない』というような説明があった。(なおかつ、昔は、「ほやほや顔」のような表現も使われていて、「できたて」という意味が必ず含まれていたわけではないとある。)

外国人から、このふたつの使い分けを聞かれたとき、こういうふうにきちんと説明するのは意外と難しい。

結局、今日はこの辞書は買わなかったのだが、辞書売り場に陳列してあった商品をいろいろながめていたら、お客さんと店員さんが話をしながらやってきた。

『日本語を勉強している人のために、日本語で説明が書かれた、日本語の辞書』が欲しいというのが、そのお客さんの希望である。本人が勉強するのだろう、初心者にありがちな、「易い(やすい)」と「易しい(やさしい)」の混同があって、「この辞書は、(読み)やすいですか?」と聞いていた。対する店員は即座に、「この辞書は、やさしいですか」の意味だと理解して応対している。外国人客の多い書店ならではのことだなと、ちょっと感心した。

さて、英語には、コウビルドやロングマンなどをはじめとして、『英語を母語としない人が学習するために特に配慮して作られた、英語で書かれた英語の辞書』がたくさんある。それに引き換え、日本語はどうだろうか?

案の定、店員さんは、「残念ながら、そういうコンセプトの辞書はありません。英語で説明してあるものならあるんですが。」と、言いながら、その場に陳列してあった日本の小学生向けに作られた辞書をひとつ手に取り、お客さんに薦めていた。

外国人向けの日本語辞典がないわけではない。例えば三省堂から、『外国人のための楽しい日本語辞典』という辞書が出版されている。実際、この店内を探してみたらあった。これは、説明はとてもていねいで、確かに日本語学習者向けだ。が、しかし、収録語彙は少ない。

くだんのお客さんが、店員さんから渡された小学生向けの国語辞典を買ったかどうか、そしてどの辞典を買ったかまでは見届けなかったが、私も興味をそそられ、その棚にあった8つの小学生向け学習国語辞典を見比べてみた。大部分の辞典は、活字こそ大きいものの、大人用の国語辞典とあまり構成は違わない。例文はほとんどないし、説明文のふりがなもついていない。ふりがながないと、説明文が読めなかったり意味が分からなかったりしたとき、さらに辞書を引き進むことができないような気がするが、読めなければ、どうせ親か先生に聞くだろうというのが編集者の考えかも知れない。大人用よりマシとはいうものの、日本語学習者に特に薦められそうなものはあまりなかった。

その中で2冊、公文の『くもんの学習国語辞典』と、三省堂の『三省堂例解小学国語辞典』は、ほとんどの語に例文があり、説明文にはふりがなが振ってあった。この2冊なら、日本語を母語としない日本語学習者向けに有益かも知れない。特に、公文のほうは、ほとんど全部の語に例文があった。見出し語の次にまず例文があり、その後に意味の説明があるという、ちょっと変わった並べ方をしている。同音異義語の多い日本語だから、見出し語と代表的な例文を見て語を探すと言うのはいいアイデアだと思う。

はたして、あの店員さんはどれを薦めたのだろうか? 店頭には各社とも1冊づつしか陳列していなかったので、もしかしたら、私が見ていない9冊目だったかも知れない。

2004.10.06

不気味なコーヒーショップ

私は、駅から仕事場に行く途中で、いつも某大手コーヒーチェーンに立ち寄り「本日のコーヒー」を買い、職場で飲んでいる。コーヒーショップはふたつある。熱いコーヒーカップを持ってあまり歩きたくないので、普段は仕事場に近いほうの店を利用している。が、今日は、何となく少し遠いほうの店を使おうと思い、店に入った。

どこにでもある普通の店なのだが、レジにいる店員の雰囲気がなんだかおかしい。外国人だったわけではないと思う。態度が悪いというわけでも決してないのだが、表情やしぐさが何となく奇妙で、私は、生まれて初めて留守番電話にメッセージを残したときに味わったような、言葉が通じているかどうか分からない不安感を味わいつつ、欲しい商品を指定する。

「コーヒーは淹れている途中なので、1、2分お待ち下さい」とのこと。代金を支払い、レジの横でコーヒーを待つことにした。

私が店に入ったときには客はほとんどいなかったが、注文したあとで立て続けに7・8人の客がやってきてレジに行列する。そして、次々に商品を受け取って2階席に行ったり店の外に出て行ったりしていた。待つこと10分。さて、コーヒーはまだか?

レジに近寄ると、さっきの店員は私の顔を見てこういった。「ご注文の品はお決まりですか?」

店内に入ってきたばかりの客にかけるセリフとしてはマニュアル通りの正しいものであるが、注文を終え代金を支払い、レジの横で10分待っている客に対して言うセリフとしては、たぶん間違っている。「もう注文してお金も払ったんだけど?」といいつつ、レシートを渡すと、不思議そうにしている。注文をど忘れする店員は珍しくないし、誰にでも失敗はあるが、ここまで完全に忘れているのはさすがに珍しい。そして、やっぱり、表情はうわの空のままである。

おもわず、スティーブン・キングの小説の世界に足を踏み入れたかのような不気味な感じがして、「もういらない」といって店を出る。コーヒー代は惜しいが、それ以上に薄気味悪い感じのほうが強くて、これ以上その店にはいたくなかった。腹立ちより不気味さのほうが強かった。店員は私を呼び止めなかったし、もちろん追いかけてもなかった。店から出ようとして私がドアに手をかけたその時点で、すでにあの店員が私のことを忘れていたとしても、私は驚かない。

とにかく、そのまま仕事場のあるビルに向かい、途中にあるいつも使うほうの店に入り、コーヒーを注文しなおし、それを仕事場まで持っていって机に向かい、コーヒーをすする。それで、やっと人心地ついた。不思議なこともあるものだ。

2004.10.04

売り込んだり、売り込まれたり

ここ数日急に寒くなることがあったせいか、体調を崩してしまったので、今日は仕事を休んだ。出かけるときから妙にくしゃみが止まらないので変だなとは思いつつ電車に乗って途中までは行ったのだが、「これはいかん」と思って引き返し、自宅から仕事先にメールを送る。

家の郵便ポストには、リクルート主催の転職セミナーの案内のハガキが届いていた。7月に行ったときに住所氏名を書いたからだと思う。今月16日だそうだ。どうしたものか。

今年初めに、今の仕事先の社長に「もう少し仕事を増やす気はないか?」と聞かれて、その時には現状維持をお願いした。仕事の精神的な負担は軽いしこれはこれで悪くはないのだが、金銭的には心細い。貯金は順調に減っている。

前の勤務先はさかんに求人をかけているようだし、私のことを心配して、戻ってみてはと薦めてくれるうれしい人もいるが、これは正直なところ期待薄だろう。私はパフォーマンス不良で退職したことになっているはずし、その判断を下した人たちは既に全員が会社を去っている。つまり、私に貼り付けられた評価を訂正できる人は、もうあの会社には存在しない。それに、何を今さらという気もする。

さらに前の会社の人、そのまた前の会社の人からも、たまにメールが来る。しかし、どうも様子が変だ。私の過去の経歴を頼りに何か商談を得るため、私に口利きを求めているようだった。たいへん申し訳ないことに、今の私は金も力もないただの底辺労働者であって、振り回せるような大企業の看板などは背負っていない。(かりにそういうものを持っていたとしても、私的な援助をしようという気にはなれない人たちからのメールだったから、本当は、全然申し訳なくないのだが。)

数年前に経験したのが、世の中には、「困っているから助けが欲しい」と他人に頼むべき場面において、「オレを手伝えば、オマエの実績作りの役に立つのだから、ありがたくそう思って協力しろ」という、実にありがたいお言葉をかけてくれる人がいる。虚勢ではなくどうやら本気でそう思っているらしい。いい気なものだ、一発お見舞いしてやりたいと当時は思った。

だが、そういうふうに自らを偽っていなければ生きていられない状況というのもあるに違いない。経営者の地位にいた人は、自分が手を差し伸べているからこそ社員どもは生活できているのだ、と信じたがる傾向があるらしい。そして地位を失った後でも、その気分が抜けない。そういう状況の人と付き合いたいとは思わないが、非難するほどの不道徳ではないと今では思う。

どうせ、何の契約関係もない私に仕事を強制することはできないのだから、ことさらに波風を立てて反発する必要はない。事務的に断ればいいだけのことである。「恩を着せつつ利用しようと近寄ってくる」というのは確かに不愉快なものだが、しかし、それは、「少なくとも、敵意を持って攻撃しに来ているわけではない」ということなのだ。敵でない人間をわざわざ怒らせて敵に回すのはバカらしいことである。

それはともかく、私自身を、どこにどうやって売り込むか、いくらで買ってもらうか、そろそろ真面目に考えたほうがいいのは確かである。いや、「そろそろ」ではなく「とっくに」が正しいかも知れない。とりあえず16日にリクルートがやるセミナーには行ってみようと思う。

2004.10.03

デノミの「デ」

英語の勉強をやりなおし始めて間もないころに、日本語では既に外来語として定着してしまっている「デノミ」「デノミネーション」は、本来の英語の意味とは異なる誤用であった、という指摘を複数の英語の本で読んで、何とも釈然としない気持ちになった。

確かに、英和辞典で denomination を引けば、この単語に「名前」「通貨の単位」などの意味はあっても、通貨単位の変更というような意味は全くなく、もしそういう意味の英単語が欲しいなら、この前に re- を追加して得られる redenomination という言葉を使う必要があると書いてある。

この、「denomination という英語には、通貨の単位を切り下げると意味などない」という事実を指摘された人が、私と同様、びっくりしたり気分を害したりするという例は、どうやら他にもあるらしく、ある英語の先生などは、ラジオの教育番組でそう指摘したときに、番組の内容が間違っていると言う抗議の電話さえ受け取ったそうだ。

私の場合、不幸なことに、de- は下げるという意味だという一般的な知識とともに、日本語のデノミネーションという言葉が10年も20年もかけて頭に染み付いているので、今になって『denomination の de- は、この単語においては「下げる」という意味ではない。「完全に」という強調のための言葉だ』と、いう正しい知識を得ても釈然とせず、何とも気持ちが悪いままだった。中途半端な知識や先入観があると、正しい理解を妨げてしまうという典型例である。

これは心情的な問題なので理屈ではどうにもできなかったのだが、最近になって、デモンストレーション demonstration の de- も、やはり、同じように強調の意味で使われている例だと知って、やっと納得できるようになった。なるほど。デモンストレーションの「デ」だと言われれば、強調のために de- が使われることもあると言われても全く違和感はない。数年間、ずっと気持ち悪く感じていた英語の denomination と、やっと自然に接することができるようになった。

身に染み付いた先入観は克服するのが厄介だが、実は、ちょっとしたきっかけで通り抜けることができるのかも知れない。もっとも、問題は、どうやってその「きっかけ」を見つけるかであるのだが。

2004.10.01

Graded Reader その4

教材として書き直された Jane Eyre について、9月4日26日に書いた。そのひとつ、ペンギン版を読み返していて、少し奇妙なことに気が付いた。話の最後のほうで登場する、ロチェスターの召使い夫婦ジョンとメアリーのうち、奥さんの名前メアリーが完全に伏せられているのだ。すべて John's wife に書き直されている。

なぜそんな修正をするのか、最初は理由が分からなかったが、実は、この本にはメアリーという名前の人物が2人、ほとんど間をおかずに登場するのだ。おそらく、ペンギン版の文章を作った人は、読者の混乱を避けるために、あまり重要でない登場人物のほうの名前は隠してしまったのだろうと思う。

教材を作る人は、単語や文法の書き換えとは別にこういう配慮もしているのか。と、ちょっと感心した。

(余談ながら、実は、「ジョン」という名前の人物も、この作品には複数登場する。が、こちらは混同の恐れはたぶんないし、そのままペンギン版でも使われている。)

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