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2004.09.10

子供向けのカラフルな英語の辞書

少し前に、アメリカで子供向け(対象年齢8歳以上)に出版されているという辞書を買ってみた。Scholastic Children's Dictionary という辞書である。向こうでは子供向けの辞書の代表的なものらしい。全ページがカラー印刷の大きくてしっかりした本で、子供用なので収録されている単語の総数はそう多くないものの、機械や自然物に関する名詞の説明には単純明快なカラーイラストや写真を多用して非常に楽しい。

植物や動物は、単にイラストが載っているだけではなく、発芽や成長の過程を数枚の絵で説明していて、絵の中に描いてあるこまごましたものについて引き出し線をつけて名前を説明している。カエルの説明では、タマゴ、オタマジャクシ、カエルの絵があった。エンジンなどの複雑な機械については断面図が載っていて各部の名前がある。

また人の職業や服装などの説明にも具体的な写真やイラストがある。例えば、veterinarian(獣医)では、言葉による説明とともに写真がひとつ添えられていて、診察台の上に横たわった神妙な顔をしたふさふさの犬を相手に、獣医が聴診器をあてていた。ひと目見て、「動物の医者」だと分かる。百聞は一見にしかず。

非常によい本だと思うし値段も高くないので、英語の勉強を始めた初心者が試しに買ってみるのは悪くないと思う。日本の中学生が見ても十分に役に立つはずである。ただし、やっぱりこの本はあくまでもネイティブ用であり、かつ、子供用である。どちらかというと絵を見て楽しむ図鑑に近い。

絵が豊富なのはいいとして、単語の説明には、ノン・ネイティブが必要とする文法や語法の情報、例えば名詞の加算と不加算の区別や自動詞と他動詞の区別は書かれていないし、例文も少ない。もちろん、第2言語として英語を学ぶ人向けの辞書はほかにいくらでもあり、ネイティブの子供用の辞書にそういうものを要求するほうがおかしいし、私もそんなことをいう気はない。あなたが英語圏に住んでいて子供に与える教材として買うのであれば、最初の辞書として買い与えていいとは思うが、もしあなたが非英語圏に住んでいる英語を勉強中の大人で、自分の勉強のために買うのであれば、たぶん、これは最初に買うべきものではない。

この辞書は、4番目以降に買う辞書だと思う。高価な大辞典ではないのだから、何かのついでに気軽に買って暇なときにパラパラとながめていればいい。ついでながら、買うべき1番目というのは学習者向けの英和辞典、2番目は学習者向けの和英辞典、3番目は学習者向けの英英辞典。2番目と3番目は人によっては入れ替わるかも知れない。この3つは、電子辞書を買えば一台に全部入っている。

英語の勉強のしかたを教えているウェブサイトなどで、しばしば、「ネイティブの子供向けの本を読むとよい」を薦めているのを見かける。基本的には賛成だが、若干の問題はある。読み手が子供であり、かつ、まわりにちゃんとした英語を話す人間がいくらでもいる環境である場合に、そういう本は最大の教育効果をあげるのであって、いい年をした大人がひとり遠い外国で勉強するときにネイティブの児童書が最適とは限らない。

児童書を薦める人はまだいい。自分で読んで気に入った本を薦めているようだ。一方、掲示板などで、相手構わず誰にでも「TIME を読め」と自動的に推奨する人も時々見かけるが、「雑誌は色々ありますが、例えば Newsweek ではなく TIME を薦める理由は何ですか?」と聞かれると返事ができない。実はどちらも読んでいないらしい。自分が読んでいないものを人に薦めるとはどういう了見かと思う。

誰が作ったのか分からないが、「英語の勉強はこのようにしなさい」という教義があって、その言葉を機械的に唱えさえすれば英語の指導者を気取ることができるらしい。相手が何のために英語を勉強しているのか、どんな職業のどんな立場の人なのか確認することなしに指導しようとする。診察せずに処方箋を書くようなものだ。これはよくない。

幸か不幸か、現在の日本では、英語で書かれている本はいくらでも入手可能である。インターネットも使うことができる。1種類の本、あるいは、ひとつの雑誌だけで勉強しなければならないほど、英語の本が不足しているわけではない。日本の受験参考書もうまく使えば非常に役に立つ。

ある辞書について「これは4冊目以降に買うべきだ」というと、「辞書を4冊も買うのか?」という反応が返ってくることがある。4冊だろうが10冊だろうがどうでもいい。自分の役に立つかどうかを考えて、これは自分の役に立つものだと思うなら、買えばいい。面白いと思うなら買えばいい。買いたくない人は、もちろん買わなくていい。それだけの話である。世の中にあふれている資源をうまく組み合わせ、必要に応じてつまみ食いで勉強すればいいのだ。

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