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2004.09.26

Graded Reader その3

先日書いたように、洋版ラダーシリーズから出ている教材用に要約された Jane Eyre を読んで、その種の教材に興味を持ったので、Penguin Readers と Oxford Bookworms から出ている Jane Eyre も取り寄せてみた。

ペンギン版の Jane Eyre
オックスフォード版の Jane Eyre とでは、かなりページ数が違う。ペンギン版は、Greaded Reader にしては多めで、150ページほどあった。元の作品が長いから無理もないと思う。オックスフォード版は100ページで、ところどころに映画から持ってきた写真が入っている。

今回も、ペンギン版よりオックスフォード版のほうが書き直しの度合いは大きい。例えば、ロチェスター氏がジェーンに対して、質問の形をとりつつ自分のことを告白をする場面。オリジナルとペンギン版では、"Suppose you were a wild boy..." というような言い出しで始めていて、以下、自分の境遇を you という代名詞で一般化して述べている。一方、オックスフォード版では、"suppose a boy... makes a mistake..." となっていて、以後の代名詞は he である。

「一般論を述べるとき you を不特定な人物の代名詞として使うという英語の習慣は、ノン・ネイティブには分かりにくい」というのは、しばしば指摘される事実だが、この場面では、ちゃんと言い出し部分で suppose と断っているのだから主語の書き換えはたぶん必要ないと思う。

このロチェスターの問いかけに対して返事をするとき、ジェーンは、オリジナルとペンギン版では、質問に出た人物を he や抽象名詞で指し示してる。つまり、まだ一般論が続いている。ロチェスターが自分の身の上を語っているとジェーンは気がついているのかも知れないが、取りあえずは一般論である。一方、オックスフォード版は、ジェーンは you を使っている。これも、たぶん一般論の you であって、ロチェスターのことをさしているわけではないと思う。それとも、ジェーンはロチェスターのこととして返事をしているのだろうか?

ストーリーの種明かしはしたくないので、この場面についてはこれ以上書かない。ただ、ここはストーリー展開の上で、ひとつの重要なポイントである。オックスフォード版は、やや会話のつじつまを合わせ過ぎているような気がしないでもない。

Pride and Prejudice の場合は、オリジナルの英文が難しかったので、語彙を制限して要約した後でもあいかわらず難しい表現が残されていたが、Jane Eyre は、オリジナル自身が Pride and Prejudice より比較的易しい文体なので(ただし、ロチェスター氏の長広舌の部分はちょっと難しい)、ペンギン版もオックスフォード版も、かなり易しい英語になっている。おそらく Pride and Prejudice が例外的にこのシリーズの他の本より難しいのだろう。ペンギンから出ている現代の小説の Retold 版(レベル5や6)を読んでみると、だいたい今回買った Jane Eyre と同じくらいの難易度である。

もっとも、英語は Pride and Prejudice より易しくても、ストーリーの「重さ」という点ではこちらのほうがずっと深刻だ。届いた本を読み比べようと思って頭から読み始めたが、つらい描写にちょっとうんざりして途中まで読み飛ばし、ジェーンが学校を出るあたりから2冊を読むことにした。重要な部分なのだが、何回も繰り返し読んで楽しみたい部分だとは思わない。

Jane Eyre は、もともとがかなり長い作品なので、省略が多くなっているオックスフォード版や洋版ラダー版よりは、やはり原文の感じがある程度残っているペンギン版をお勧めしたい。

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