Graded Reader
英語学習者向けに書き直された Jane Eyre を図書館で見つけてから、Graded Reader と呼ばれている、この種の教材に興味がわき、少し前に、いくつか買って読んでみた。特に興味深いのは、同じ本を素材にしてふたつの出版社がそれぞれ違った要約をしている場合である。
今回読み比べたのは、ジェーン・オースティンの Pride and Prejudice である(Jane Eyre も両方から出ているのでアマゾンに注文している)。
Pride and Prejudice (Penguin Reading Lab, Level 5) は、2300語の範囲で書き直されていて 128ページあった。もう一方の Pride and Prejudice: Level 6 (Bookworms Series) は、2500語、104ページである。
また、以下で『オリジナル』として私が参照するのは、Pride and Prejudice (Penguin Popular Classics) である。小さな活字で299ページあった。
なお、たまに掲示板などで混同している人を見かけるが、Penguin Popular Classics と Penguin Readers は、ごらんのように全く別のものである。さらにややこしいことに、Penguin Classics というのがイギリスとアメリカから出ている。
Penguin Popular Classics は、古い本を写真製版で複製しているようで、値段が非常に安いかわり本によってはところどころ活字が欠けていることがある。幸い、Pride and Prejudice については特に問題はなかった。値段が安すぎてアマゾンでは定価に為替レートを掛けただけの値段で売っていたのでは利益が出ないのだろう、このシリーズに限らず、安すぎる本は、もとの定価に関係なく一律500円になっている。
どうでもいい話だが、私がこの本をアマゾンに注文した時、まだアマゾンはこの最低価格を導入していなかった。アカウントの記録を見ると251円とある。ほぼ同額の本を数冊、別の高価な本と一緒にまとめて注文したのだが、記録によれば、アマゾンは本が入荷するたびにばらばらに発送している。
アマゾンでは、海外からの取り寄せ品であっても発送前なら客はキャンセルできる。キャンセル料などはない。なので、おそらくアマゾン側としては、品物が全部そろうのを待っている途中でキャンセルされ他所に売れそうもないへんな在庫をかかえるよりは、入荷するたびにいちいち分納したほうがよいと判断したのかも知れない。しかし、1冊わずか250円の本をイギリスから取り寄せ、送料は請求せずに別々に納品していれば、そりゃ、売れば売るほど赤字だろう。最低価格を導入するわけだ。
さきに書いたように、Penguin Popular Classics は値段が安い代わり、たまに印刷の質が悪いものもある。アマゾンで買う限りは500円以下にはならないので、同じくらいの値段の他の出版社を探したほうがいいかも知れない。
ところで、Pride and Prejudice には、朗読のカセットテープもある。Pride and Prejudice (Audio Editions) は、省略なしの全文を、カセットテープ8本、11時間30分かけて朗読している。登場人物のセリフとして最初にでてくるのはベネット夫人のものであるが、脇役のベネット夫人の馬鹿っぷリが見事な楽しい作品である。
(もっとも、夫人は愚かではあっても悪人ではない。夫が死ねば財産を取り上げられるという厳しい環境にある以上、一刻も早く娘をどこかの金持ちに嫁がせなければならないと必死なのである。同情の余地はあるのだ。)
さて・・・ ここで、Penguin Readers版と Oxford Bookworms版の Pride and Prejudice それぞれの興味深い違いについて書くつもりだったが、余談の部分だけでかなりの長さになってしまったので、今日は、ひとまずここまでにして、続きは明日書くことにしたい。
« カランコエ その7 | トップページ | Graded Reader その2 »
「英語」カテゴリの記事
- 「聞く耳をもっていないのに、質問攻め」は勘弁してください(2015.10.21)
- 英語吹き替え版アニメを見て改めて気がついた、セリフと演技の重要さ(2015.01.08)
- 『お祈りメール』で門前払いを食らったノーベル賞受賞者と、マスコミの懲りない人々(2014.11.11)
- やさしい単語の派生語を網羅的に覚えると、表現できる世界が広がる(2014.04.27)
- 古い電子辞書を修理に出した(2007.02.25)
コメント