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2004.08.26

Phrasal verb (句動詞)

一昨日、擬音語に関する話の中で、『日本語では動詞に擬音語を追加するが、英語の場合は、chuckle とか giggle のように独立したひとつの動詞になっている』と書いた。

しかし、もちろん英語にも、2語以上の単語の組み合わせによってある動作を意味するような例は無数に存在し、その中でも、動詞+前置詞/副詞の組み合わせからなる特定の決まった言い回しについては、そういう組み合わせの例が非常に多いので、特に、「句動詞」あるいは「動詞句」「熟語動詞」「二語動詞」などという呼び名をつけて、それ以外の熟語とは区別している。

句動詞だけを取り上げて整理した辞書も、英語学習者向けにあちこちの出版社から発売されている。初期に出版された辞書は、熟語動詞とか二語動詞という題名になっているようだ。句動詞という呼び名は、比較的最近になって定着した用語なのかも知れない。

句動詞の典型的なものとしては、give up(やめる、あきらめる)や put on(身につける) などがある。前者は熟語的なもので、give の意味と up の意味を単純に足し合わせても give up の意味は分からない。後者は、体の上(または表面)に置くということだと思えば、あたらずといえども遠からずである。服を着るという行為だけではなく、眼鏡をかけたり名札を身につけたりするのにも put on を使う。

熟語として特別な意味を持っている句動詞もあるが、かなりのものは、それを構成している単語それぞれの意味から、全体としての意味が推測できる。「動詞+位置や方向を示す副詞」というのが基本形であり、たいていは、動詞の意味を副詞によって補足しているに過ぎない。

句動詞は別としても、中学や高校で動詞と副詞を使った英文を書いたことのある人なら(みんな経験があるはずだ)、副詞は、動詞とは離して文末に置かれる場合があることを知っているはずだ。句動詞でも、put it on のように on は目的語 it の後ろに置かれることがある。ひとかたまりの put on が特別なときだけ分離するというより、もともと副詞の on は文末に置いて構わないのだ。だから put the black hat on のように途中の名詞が長くてもよい。

念押しだが、put on の on は前置詞ではなく副詞である。辞書で on を引けば、副詞としての説明も載っている。「on という単語はいつでも前置詞のはずだ」と思い込んでいると、わけが分からなくなる。(私は、on が形容詞や副詞として使われている文章を実際に何度も見ているにも関わらず、「on は前置詞だ」と長い間思い込んでいた。)

余談ながら、put on と wear は意味が違う。これは、TOEIC のパート1(写真を見ながら説明を聞いて、正しい説明のナレーションを選ぶ問題)で、引っ掛けとしてときどき利用され、かつて私も一杯食わされたことがある。すでに何かを着用済みの場合は、wear であって put on ではない。写真に写っている光景が、何かを「着用しようとしている途中」でないなら、"the man is putting on..." などのようなナレーションはほぼ確実に間違いであり、選んではいけない(さらに手の込んだ引っ掛けがあれば話は別であるが、TOEICは、そこまで変なことはしないと思う)。

コウビルド英英辞典は、put on の説明としてこう書いている:
When you PUT ON clothing or make-up, you place it on your body in order to wear it.
つまり、「wear するために、体の上(表面)に置く」ということである。そもそも put という動作は、あるものをどこかに置くという、「1回限り」の動作を意味する動詞である。何かをずっと置きっぱなしにすることを put とは言わない。したがって、put on という句動詞も、身につけていなかった何かを身につけるという1回の動作を意味し、身につけた後にその状態であり続けるということまでは意味に含まない。

一方、put on と似た形の have on という言い方もあって、こちらは「着ている(着た状態にある)」という意味になる。これは、have が「持っている」という状態を意味する動詞であることを考えれば当然かも知れない。そして、両社に共通している on は、どちらの句動詞でも「(体の)上に、表面上に」という意味のはずである。

ある句動詞の持つ意味は、しばしば、動詞の部分よりもむしろ前置詞や副詞の部分が支配的であるため、同じ前置詞や副詞を使っている句動詞は、同義語や類義語になることがある。このため、句動詞の辞典のなかには、動詞の部分ではなく副詞の部分に注目して索引をつけているものもある。例えば、『英語句動詞文例辞典―前置詞・副詞別分類』は、そういう本である。

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