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2004.08.16

Basic English で使用する合成語

『Basic English は、わずか850語の単語の組み合わせによって、実用に耐える英文を組み立てることができる』ということになっている。実際、Basic English の入門書には必ずこの850語の表が載っており、「これだけあれば大丈夫です。なぜならば、これらの語は・・・」と、読者に説明している。しかし、本当のところ、この850という数字にはウソがある。なおかつ、許されるべきウソであると思う。

Basic English は、ある一定の制限の範囲内であれば、合成語や派生語を作ることを認めている。Basic English の単語表には、「結果」という意味の result は存在しないが、out と come をつないで作った outcome(結果、成果)という名詞を使うことを許している。単語表に outcome は存在しないが、out と come の意味を知っているなら、「出てくるもの、すなわち結果」という意味を類推できるはずだというのがその理由である。

この outcome という単語は result ほど使用頻度は高くないが、学習用の英和辞典に必ず載っている一般的な単語なので、result の代わりに outcome を使って英文を書いても間違いではない。実際、少し前に読んだデイリーヨミウリの新聞記事にも使われていた。(ただし、result は、名詞としてだけではなく、「~という結果になる」という意味の動詞としても使うことができるが、outcome は名詞だけである。)

また、日本語でも外来語として定着している「アウトプット」 output は、「生産物、生産高」という意味であり、これも文脈次第では result の代わりに使うことができるだろう。

同様に、on と look そして「動作をする人」という意味の -er をつないで作った、onlooker(見物人)という名詞を使うことも全く問題ない。あるいは、unlooked-for(思いがけない、予期しない)という形容詞を使うことも可能である。どちらも、普通の英和辞典に載っている正しい単語である。

なお、「字面を見て意味が類推できること」という縛りがあるので、for と get をつないで forget を作るようなことは許されていない。(実は、ここにも若干の問題がありそうな気がするが、今回は触れない。)

さて、こうやって単語の数を増やしていくことを許容するのであれば、「わずか850語で」という宣伝文句には、ごまかしがあるということになる。いくら見た目から意味を推測できるとはいえ、Basic English の基本語彙しか知らない人が、独力で outcome という単語を編み出して、しかも、それを通常の英語で使われているのと同じ形で正しく使うことができるとは、ちょっと思えない。読む側については Basic しか知らなくても大丈夫だとしても、書く側は、通常の英語の知識として outcome という単語がこの世に存在するのだと知っていなければならない。

C.K. Ogden は、そのへんもちゃんと考えていて、基本の850語とともに使い道のありそうな合成語をまとめた The Basic Words という本を出版していた。数年前まで日本でも出版されていたらしい。残念なことに、今は絶版である(2004年8月現在)。この本の最初と最後のページを紹介しているサイトがあるので、参考までにリンクしておく。
http://ogden.basic-english.org/isl322.html

すっきりした文章を書くためにはこのような合成語を使いこなせることが望ましく、Basic English で作文するとき、実際に使う語彙数は850よりずっと多くなる。これは、Basic English に対する攻撃材料の一つ(850語で済むなんて、うそだ!)であり、かつ、ある程度的を射ているようにも思う。

とはいうものの、ものは考えようである。見たこともないスペルの新しい単語を覚えなくても、すでに意味を理解している単語をつなぎ合わたものとして、自分の持ち駒として使える単語の数をかなり増やすことができるのである。新しい単語をむやみに丸暗記するのではなく、すでに覚えているものを最大限利用するというのは、優れた戦略であると思う。ありふれた単語の組み合わせで、表現の幅を広げることができるというのが、Basic English というアイデアの面白さである。

Basic English の範囲にこだわらなくてもよいので、暇なときにでも辞書をながめて、in, on, out, over, up などの基本的な単語から始まる合成語を確認してみることをお勧めしたい。普段自分が使っている言葉よりも、もっと簡単な言い回しがあることに気がつくかも知れない。

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