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2004.08.18

Basic English で使用する派生語

前回は、Basic English で使用する合成語についてちょっと触れた。今回は派生語について述べようと思う。

Basic English は、単語の頭に un- をつけて元の意味を否定する単語を作ることを許している。また、名詞や形容詞として挙げられている多くの単語に、-ed、-er、-ing、-ly をつけて派生語を作ることもできる。例えば、Basic English には doubt (疑い)という名詞があるので、これから派生させた undoubtedly(疑いもなく、間違いなく)という副詞を Basic English の一部として使うことには何も問題ない。そして、doubt という単語の意味を知っている人なら、undoubtedly の意味は間違いなく推測できると思う。

一方、ちょっと分かりにくいものもある。例えば、pencil(鉛筆)に -ed をつけて、形容詞 penciled(鉛筆で書かれた)を作ることができる。これは、別におかしなものではなく、少し前に読んだアイザック・アシモフの短編集 I, Robot には、次のような文章があった。"There are the penciled dots that mark Speedy's position." これは、登場人物の一人が、仕事から帰ってこないロボット Speedy の足取りを地図に鉛筆でつけ、同僚にそれを見せたときのセリフである。

余談ながら、アシモフのファンなら、これが何の話か即座に分かるだろう。I, Robot という映画が最近発表されたが、題名と登場人物の名前だけを使った完全に別の作品らしい。が、映画化されたせいで、原作に対する注目度があがったらしく、オリジナルの小説の朗読CDが発売されたので、映画化してくれた人にはちょっと感謝している。

CDは7枚組で全部で8時間20分ある。パッケージには映画の登場人物がでかでかと印刷されているが、中味は映画とは関係ない原作の朗読である。アマゾンで注文するときにパッケージの写真を見たので、正直な話、「もし、原作ではなく映画のノベライズか何かだったらどうしよう」と、実物の音声を聞くまで内心冷や冷やしていた。逆に、映画の内容を期待して買った人がいたとしたら、お気の毒としか言いようがない。

さて、I, Robot のことはともかく、本題に戻ろう。何らかの行為を意味する単語、例えば attack とか paint などに -er や -ing などをつけた場合なら、そうしてできた派生語の意味は類推しやすいが、pencil から penciled(鉛筆で書いた)という形容詞を作ることができるというのは、日本語の感覚からはちょっとかけ離れている。といっても、英語とはそういうものなのだから、文句を言っても仕方ないのだが。

英和辞典を引けば、日本語からの連想のせいで名詞の意味しかないと思っていた単語が、実は動詞としても使え、したがって、Basic English においては -ed や -ing を追加して形容詞に変えることできる。と、確認できるはずである。辞書にはちゃんと載っている。

最初にあげた penciled にしても、もともと pencil には、「鉛筆で書く」という動詞の意味がある。手元の辞書には Mark penciled a note to his wife という例文があった。同様に sponge(スポンジ)は、「スポンジ」という物体を意味する名詞であると同時に、「スポンジでふく」という動詞でもある。

調べてみると分かるが、英語は何でも動詞として使ってしまう言語で、「執筆する、筆をとる」というちょっと格好をつけた表現として、pen を動詞として使うこともできる。梅や桃のような大きな核(種)のことを stone というので、そういう果物から「種を取る」という動詞として stone が使えたりする。別の文脈では、「石を投げる」という意味にもなる。動詞としての stone は、石(のようなもの)に関する動作を何かやるというだけで、実際にどういう行動を取るかは文脈によって変わってしまうのだ。肉や魚から「骨を抜く」という意味で bone を使うこともできる。厄介なことに seed は、畑に「種をまく」という意味も、果物から「種をとる」という意味もあって、文脈から常識で判断する必要がある。まあ、「畑に種をまく」ことはあっても、「果物に種をまく」ことは普通ないので、間違えることはまずないだろうが。

C.K. Ogden が Basic English の中で動詞として使ってよい単語を大幅に制限し have や get などの基本動詞(そして、その合成語)だけにしたのは、このような『何でも動詞として使える。意味は、個々の状況における常識によって変わる』という英語の特性は、ノン・ネイティブにとって混乱の元だと考えたからかも知れない。そうやって制限しておきながら、形容詞化すれば使うことができると逃げ道を用意するあたりに、微妙なバランス感覚を感じる。とはいうものの、これは濫用すると元の木阿弥という気もするので、この種の表現は無理に使うことはないと思う。

Basic by Examples という本は、Basic English の通常の単語850語に加え、-ed、-er、-ing、-ly によって作られた派生語についても使用例を載せている冊子で、stoned のような例も載っている。Basic English に興味を持った人は、入手して例文に一通り目を通してみると思いがけない発見があるかも知れない。幸い、日本国内でまだ入手可能である。

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