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2004.07.20

狩猟民族と農耕民族

日本と外国との関係を論じている新聞や雑誌の記事において、何十年も前から繰り返し言われている便利な言葉に「日本人は農耕民族で、西洋人は狩猟民族だから・・・」というものがある。異なる種類の民族だから話がかみ合わないのは当然だという説明に、よく利用される言い回しだが、本当だろうか?

縄文時代に日本列島に住んでいたのは狩猟採取によって生計を立てていた人たちであり、この地で農業が始まったのは人類の歴史から見ればごく最近のことである。日本における農業の歴史が他の民族より特に長いわけでもなく、確かに今の日本人は農耕民族だろうが、特別にいうほどではない。

一方、『西洋人は狩猟民族だ』というのは、いったい西洋のどこをさして言っているのだろう? ローマやギリシャの文明が花開いたのはいつか? そのとき彼らは農業をやっていなかったのか? 農業があってこそ都市や政府は存在できるのだし、軍隊を養うこともできる。西洋という言葉がローマやギリシャの文明を含めていうのであれば(そのはずだと思う)、日本列島で農業が始まるよりもずっと前から西洋では農業をやっているのだ。それとも、ローマやギリシャは西洋の民族の歴史から除外して考えるべきものなのだろうか?

「われわれ」が狩猟採取民族を野蛮人呼ばわりするのは、単に、現在「われわれ」が農耕民族というクラスに属しているからというだけの理由からであって、それ以上の正当な理由などない。そして、『西洋人は狩猟民族だ』という主張は、「やつら」は「われわれ」より野蛮だから狩猟民族であるはずだという、逆転した理由付けによるものであると思う。

しかし、実のところ、西洋は日本以上に農耕民族であるがゆえに、たくさんの戦争を経験しているのである。それは中国大陸の歴史を見てもいえる。日本では狩猟採取によって人々が生きていた時代に、大陸では、農業と、その生産力を支えとした高度に政治的な戦争が行われていた。

「日本人は農耕民族だから」という根拠の薄いセリフは、捨てたほうがよい。確かに、日本には日本固有の歴史的背景があり農業もその一部であるが、「農耕民族だから」という説明は単純すぎると思う。また、「西洋人は狩猟民族だから」に至っては論外であり、私は、新聞や雑誌の記事を読んでいてそういう記述に出くわしたら、それ以上先には読み進まない。

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